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秋月電子の「オシロスコープキット」を使ってみました

無断転載および再配布を禁じる。
Copyright (c) 2012 Rikei Danshi All rights reserved.


注意1:この文書により対象の機器を使用した場合の結果については、いっさいの責任を負いません。
製品添付の資料で確認のうえ、自己責任でご利用ください。
注意2:この文書の内容に関して、「秋月電子通商」はまったく無関係であり、いっさいの責任がないことを明言します。
この文書に関して、「秋月電子通商」への問い合わせなどは固く禁じます。

  1. 切り替えスイッチを設定する
  2. 電源を入れる
  3. 押しボタンで基本設定をする
  4. ワンショットトリガースイープ(単発掃引)
  5. 周波数を計測する

 >秋月電子の「オシロスコープキット」の操作パネル
 >秋月電子の「オシロスコープキット」を組み立てました

このオシロは、VRやロータリーセレクターは一切使わず、すべてスイッチと押しボタンで操作するようになっています。

そのため、特に押しボタンについて、それぞれの機能と画面表示との関連について、理解と習熟が必要です。

以下は、立ち上げ時の設定手順にしたがって、これらの操作法と機能について説明します。

ただし、「外部トリガー」機能と、「波形保存」機能、「通信」機能については、筆者が未確認のため、この資料では説明しません。
必要な方は、ご自分で研究してください。


1.切り替えスイッチを設定する

液晶画面の向かって左手に、スライドスイッチが3個、縦に並んでいます。
電源を入れる前に、これらを下から順に設定していきます。


(1)機能切り替え(最下段)


機能これは、普通のオシロスコープに付いているAC/DCの切り替えのほかに、「Freq」と標示されている、周波数カウンタモードが付いています。
周波数カウンタモードについては後述しますので、まずはAC/DCのいずれかにしてください。



(2)感度切り替え(中央)


感度次に、あらかじめ入力信号レベルを予測してこのスイッチを設定します。
このオシロで観測が可能な入力信号レベルは30Vp-pまでですから、入力する信号は、直流ならば±30Vpeak以内、交流ならば振幅が30Vp-p以内としてください。

その範囲内で、予想される信号レベルが600mVp-p(直流ならば±600mV)までは「0.1V」レンジに、600mVp-p以上30Vp-pまでは「1V」レンジにしてください。


(2)垂直倍率切り替え(最上段)


倍率「1V」レンジにしても、ここが「x1」ならば、画面には最大6Vp-p(直流ならば±6V)までしか観測できません。

そこで、入力信号が6Vp-pから12Vp-pの間ならばここを「x2」に、12Vp-pから30Vp-pの間ならば「x5」に設定します。

さらに、10対1のプローブを使えば(変換コネクタが必要)、300Vp-p(直流ならば±300V)まで観測できます。



2.電源を入れる

電源プラグの極性

これで、「入力レベル」に対しては最適な設定をしましたから、観測プローブを接続し、電源(ACアダプターまたは電池)を入れます。
電源には、9V-12Vで300mA以上のACアダプタまたは電池が推奨されます。
電源のプラグは、内部電極がプラスで、外側電極がマイナスのものを使ってください。



オープニング電源を入れると、最初にオープニングメッセージとしてメーカー名やら品番やらの情報が表示されます。
一定時間の後、自然に信号表示画面に切り替わりますが、この時点ではまだ入力信号を与えても最適な表示はしません。



3.押しボタンで基本設定をする

液晶画面の向かって右手に9個の押しボタンがあります。
これらは、押す順番の組み合わせでさまざまな操作をしますが、操作内容は液晶画面で確認できます。


図1 画面表示
(この図はダブルクリックして「別ウインドウ」に開いておくと、
以降の本文中からの「参照」に便利です。)
画面表示

(1)掃引モードを「AUT」にする


掃引モード最初にこのボタンを押すと図1の⑥が反転表示されます。
そこで、「+」または「-」ボタンのいずれかを押すと、押すたびに「AUT/NOR/SIG」の3つを順に表示しますから、「AUT」になったら押すのをやめてください。

これは掃引モードで、それぞれ次のような意味です。



図1⑥機能
AUT「自動」掃引です。
トリガーがかからなくても自動で掃引を繰り返しますから、直流や微弱な信号でも観測できますが、波形が左右に流れて静止しない場合があります。
入力信号レベルが適正で、トリガーがかかると波形が静止します。
NOR「標準」掃引です。
トリガーがかからないと画面の表示波形を更新しないので、直流や微弱な信号の観測には適しません。
SIG「単発」掃引です。
トリガーがかかると1回だけ掃引して、自動的に「HOLD」を表示して、その波形を保持します。
非周期パルスや、長周期の短いパルスなどの観測に適します。

「NOR」や「SIG」では、トリガーがかからないと、画面に信号が表示されない場合がありますので、ひとまず「AUT」にしておきます。


(2)波形の表示高さを調整する


画面内目盛りの向かって左手に小さな三角形があります。(図1の⑪
これは、0Vの位置を示します。


垂直位置このボタンを押すと、図1の④が反転表示されます。
このとき、「+」または「-」ボタンで0Vの位置を上下に動かすことができます。

これにより、画面内左の小さな三角形を、ファンクション切り替えスイッチの設定が「AC」ならば上下中央、その設定が「DC」で、入力が正の直流電位ならば画面内のもっとも下の水平線に合わせます。



(3)信号を入力する


信号入力ジャックにプローブを接続して、信号源に接続すると、画面に信号波形が表示されます。
しかし、このときはまだきちんと波形が観測できるとは限りません。

そこで、引き続き以下の調整を行います。


(4)掃引速度を調整する


掃引速度このボタンを押すと、図1の③が反転表示になります。
このとき、「+」または「-」ボタンで、掃引速度を速くしたり遅くしたりできます。
「+」ボタンで速く、「-」ボタンで遅くなります。

図1の③の値は、画面の縦線間の時間を表し、範囲は2μsから10分まで変えることができます。
図1の③が入力信号を観測するのに最適な値になるように調整します。
たとえば入力が500Hzならば周期は2msですから、図1の③は「1ms」または「0.5ms」くらいが最適です。

なお、画面では、「ms」を「Ms」、「μs」を「Us」、「min.(分)」を「m」と表示します。


(5)トリガーレベルを調整する


トリガレベルこのボタンには2つの機能があります。

まず、これを押すと図1の⑨が反転表示になります。
この状態で、これを短く押すと図1の⑦が「e」と「i」とで交互に切り替わり、それぞれ「外部トリガー」「内部トリガー」を意味します。
ここでは、ひとまず「i」を選びます。
(「e」すなわち「外部トリガー」については、筆者が未確認のため、この資料では説明しません。)

さらに、「+」または「-」ボタンを押すと、図1の②(画面内目盛りの右にある小さな三角形)が上下して、トリガーレベルの調整ができますから、表示波形が静止するように調整します。


これで、ひとまず波形観測ができる状態の設定が完了しました。

図1は、このオシロ自身のキャリブレーション出力(500Hz5Vpp、基板の向かって左上端)を表示しています。
500Hzの矩形波がきれいに表示されていることから、帯域はかなり広いことがわかります。
資料によると公称1MHzだそうです。


さらに、必要により、次の操作をします。


(6)トリガーエッジを選ぶ


スロープこのボタンを押すと図1の⑧が反転表示になり、立ち上がり立ち下がりが交互に表示されます。
それと同時に、トリガータイミングが入力信号の立ち上がりと立ち下がりで切り替えられます。

これについては、実際に操作してご確認ください。


4.ワンショットトリガースイープ(単発掃引)

ときどき発生する単発パルスなど、パルス幅に対して発生周期が非常に長い場合は、通常の自動掃引(AUT)モードでは観測が困難な場合があります。
こんなとき、「単発掃引(SIG)」モードが便利です。


(1)「単発掃引」モードにする


掃引モード最初にこのボタンを押すと図1の⑥が反転表示されます。
そこで、「+」または「-」ボタンのいずれかを押して、表示が「SIG」になったら押すのをやめてください。



(2)波形バッファをクリアする


動作次に、このボタンを押すと、画面内右上端に図1の①(「HOLD」)が表示されたり、消えたりします。
消えたところでやめてください。



(3)波形の左右位置を調整する


その後、信号が入ってきてトリガーレベルを通過すると、波形が表示されて固定されます。
しかし、波形がうまく画面内に表示されるとは限りません。


水平位置そのとき、このボタンの出番です。

これを押すと、図1の⑤が反転表示になり、「+」または「-」ボタンで表示波形を左右に動かせるようになります。
このとき、図1の⑩も動きますが、こちらは取り込んだ波形の中の表示範囲を表すので、波形の動きとは逆に動き、「+」ボタンで右に、「-」ボタンで左に動きます。
これにより、波形が画面内にきちんと表示されるように調整します。

このとき、波形を6個までメモリに保存することができるそうですが、筆者がまだ未確認のため、この資料では説明しません。


(4)波形表示を消去する


動作波形観測が済んだら、入力が無いときにこのボタンを押すと、画面内の波形と「HOLD」表示がともに消えます。
これで、再び(2)の状態に戻って、次の入力の待機状態になります。



5.周波数を計測する


このオシロは「周波数カウンタ」として使うことができます。
スレッショルドはTTLレベルなので、入力信号は、3Vpeak以上必要です。


(1)周波数カウンタにする


カウンタ画面

「周波数カウンタ」として使うには、ふたつの操作が必要です。


まず、操作パネル上の向かって左の再下段にある「機能切替」スイッチを「Freq」の位置にします。
その後、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、「周波数カウンタ」として動作します。

操作の順序は逆でも大丈夫です。

「機能切替」スイッチが「AC」または「DC」の位置でも、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、画面は「周波数カウンタ」になりますが、これではまだ動作しません。
「機能切替」スイッチを「Freq」の位置にすると、カウンタ回路に信号が入力され、計測を開始します。


(2)オシロスコープに戻す

「周波数カウンタ」から「オシロスコープ」に戻すには、ふたつの逆操作が必要です。

まず、「機能切替」スイッチを「AC」または「DC」の位置にします。
その後、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、画面内の「Hz」の真上にある「●」が消えます。
そこで「OK」ボタンから手を離すと、「オシロスコープ」に戻ります。

操作の順序は逆でも大丈夫です。

「機能切替」スイッチが「Freq」の位置でも、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると画面内の「Hz」の真上にある「●」が消えます。
そこで「OK」ボタンから手を離すと、画面は「オシロスコープ」に戻りますが、これではまだ波形表示しません。
「機能切替」スイッチを「AC」または「DC」の位置にすると、オシロに信号が入力され、波形を表示します。


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秋月電子の「オシロスコープキット」の操作パネル

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注意1:この文書により対象の機器を使用した場合の結果については、いっさいの責任を負いません。
製品添付の資料で確認のうえ、自己責任でご利用ください。
注意2:この文書の内容に関して、「秋月電子通商」はまったく無関係であり、いっさいの責任がないことを明言します。
この文書に関して、「秋月電子通商」への問い合わせなどは固く禁じます。

次の表の写真はすべて同一縮尺です。

機能名称写真機能説明
倍率倍率
垂直軸の1目盛りが、「感度」の値にこの倍率を乗じた値になります。
10:1のプローブを使うと、さらに10倍の電圧を観測することができます。
感度感度垂直軸の1目盛りは、この値に「倍率」を乗じた値になります。
機能切替機能
・AC:交流波形表示
・DC:直流波形表示
・Freq:周波数カウンタ表示
動作動作
「RUN(波形取り込み)」動作と「HOLD(保持)」動作とを交互に切り替えます。
「HOLD」は、画面内の右上に表示が出ます。
「RUN」と「HOLD」の切り替えは、すべての掃引モードにおいてこのボタンでできますが、掃引モードが「SIG(単発)」のときだけは、掃引後、自動で「HOLD」に切り替わります。
また、3秒以上の長押しをすると、画面を波形観測と周波数計とで切り替えできます。(実際の動作は、「機能切替」スイッチによります。)
上昇+
この表の「V.POS」以下のボタンが押されると、その項目を調整します。
下降-
この表の「V.POS」以下のボタンが押されると、その項目を調整します。
垂直位置垂直位置
「+」「-」ボタンで「0V」の位置を動かせます。
「+」で上に、「-」で下に動きます。
「0V」の位置は、画面目盛りの左端に「>」で表示されます。
水平位置水平位置
「+」「-」ボタンで画面内の波形を左右にずらすことができます。
一定の範囲内で、「+」で左に、「-」で右にずれます。
波形の表示範囲は、画面目盛りの下に直線で表示されます。
掃引速度掃引速度
「+」「-」ボタンで水平軸の1目盛りあたりの時間を変えることができます。
「+」で掃引が速くなって、1目盛り当たりの時間が短くなります。
「-」で掃引が遅くなって、1目盛り当たりの時間が長くなります。
掃引モード掃引モード
「+」「-」ボタンで掃引モードを次のいずれかに切り替えできます。
・AUT(自動):自動で周期的に掃引します。ただし、自動掃引よりも先にトリガーがかかると、トリガーに同期して掃引します。
・NOR(標準):トリガーがかかると掃引し、次のトリガーがかかるまで画面表示を保持します。
・SIG(単発):トリガーがかかると1回だけ掃引して自動で「HOLD」を表示し、画面をそのまま保持します。2回目以降のトリガーはすべて無視します
トリガエッジスロープ
「+」「-」ボタンでトリガエッジを「立ち上がり」「立ち下がり」のいずれかに切り替えできます。
トリガレベル/ソーストリガレベル
ふたつの機能を持ちます。
「+」「-」ボタンで掃引のトリガレベルを変えることができます。
「+」で高電位方向に、「-」で低電位方向に動きます。
トリガレベルは、画面目盛りの右端に「<」で表示されます。
また、このボタンを押すたびに、トリガーソースを「内部」つまり入力信号と、「外部」つまりトリガー専用信号の入力とで切り替えできます。


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秋月電子の「オシロスコープキット」を組み立てました

無断転載および再配布を禁じる。
Copyright (c) 2011 All rights reserved.


注意1:この文書により組み立てや改造を行った場合の結果については、いっさいの責任を負いません。
製品添付の資料で確認のうえ、自己責任でご利用ください。
注意2:この文書の内容に関して、「秋月電子通商」はまったく無関係であり、いっさいの責任がないことを明言します。
この文書に関して、「秋月電子通商」への問い合わせなどは固く禁じます。

  1. はじめに
  2. 事前準備1:資料を整備する
  3. 事前準備2:部品を加工する
  4. 組み立て1:回路部品を取り付ける
  5. 組み立て2:液晶パネルを取り付ける
  6. 組み立て3:操作パネルとリヤパネルを取り付ける
  7. 組み立て4:プローブを作る
  8. 使用可能な電源
  9. 最後に
  10. 完成後の改造1:バックライト消灯
  11. 完成後の改造2:キャリブレーション出力

 >秋月電子の「オシロスコープキット」の操作パネル
 >秋月電子の「オシロスコープキット」を使ってみました

1.はじめに

秋葉原の「秋月電子通商」で売っている「オシロスコープキット」を買って組み立てました。
完成後は問題なく動きました。
しかし、組み立て開始までがけっこうたいへんでした。


2.事前準備1:資料を整備する

資料は、次の2つを入手しました。
添付資料回路図、部品配置図、測定点電圧図、操作スイッチ一覧表
組み立てマニュアル「秋月電子通商」のサイトからダウンロード。
組み立て手順がA4版1ページにテキストで書かれている。
2ページ目には操作ボタンの使い方が同じくテキストで書かれている。


通常、組み立ては部品配置図を見ながら行います。
しかし、これが難儀なのです。
部品配置図や組み立てマニュアルには「C1,L1」のように部品番号で書かれているのですが、部品本体にはそのような標記はありませんし、部品表も無いので、いちいち回路図を参照しない限り、「C1」はどの部品なのか分かりません。
ちなみに、こんな部品が同梱されています。

そんなやり方では時間がかかるだけでなく、付け間違いの危険もありますから、まずは部品配置図に、取り付ける部品の規格を記入することにしました。
それに半日かかりましたが、こういう風な図ができました。
これで気分良く組み立てができそうです。


3.事前準備2:部品を加工する

まず、J4の短い方のリードを、次の写真のように、さらに1mm程度短くします。
短い方を基板に挿して取り付けますが、そのちょうど裏面に液晶パネルが付くので、このまま組み立てると、液晶の裏面に触れるからです。
切り過ぎてもはんだ付けがし難くなりますから、注意してください。
J4を切る


もうひとつ、U3の三端子レギュレータは、予め基板に放熱板とともに仮置きしてみて、端子が基板の穴にうまく刺さるように、次の写真のように曲げておきます。
三端子レギュレータの端子を曲げる



4.組み立て1:回路部品を取り付ける

以上2点の加工が終わったら、部品配置図を見ながら部品を取り付けます。
基本は、小さい部品から大きい部品への順です。
その逆だと、大きい部品があとの作業の邪魔になりますから・・・

その際、JP1およびJP4は手持ちのメッキ線などを使いますが、それぞれ次の手順で組み立てます。

  1. JP4、すべてのL,C、電源ジャック、RCAジャック
  2. 電源チェック(後述
  3. JP1、液晶パネル、すべてのスイッチ類

さらに、次の点はあらかじめ考えてから取り付けます。


  1. 電源電流は200mA前後流れますが、電池駆動をしたいのであれば、U3をロードロップダウンタイプに取り替えます。
    取替えは、液晶取り付け後にはできませんから、このときしかありません。

  2. 同じく電池駆動をしたいのであれば、電源ジャックの側面に出ている端子を次の写真の「2」のように基板に挿さないでおいて、あとで電池クリップのマイナス線を付けます。
    電池クリップのプラス線は、同じく写真の「1」のように、電源ジャックの内側電極(+)に接続します。
    電源ジャックへの電池の配線

  3. 基板には電源スイッチがありません。
    必要であれば、D4の場所にジャンパー線を取り付ける代わりに、リードを引き出してスイッチを付けます。

U3の三端子レギュレータの取り付けは、できれば放熱板との間にグリースを薄く塗ると放熱が良くなります。


JP1と液晶パネル、スイッチを除く部品をすべて取り付けたら、ACアダプタを電源ジャックに差込み、次の手順で電源チェックをします。
これらの条件になるまで基板のチェックと修理をしてください。


  1. 基板の、電源ジャックを左下にして、そのやや右にある「GND」と、基板中央付近にある「+5V」との間の電圧がほぼ5Vあるか?
  2. 「JP1」の電流が、40から60mAの間か?

このとき、ACアダプタは、次の写真のように、内側電極がプラスで、外側電極がマイナス、電圧が9Vから12V程度で、電流容量が300mA以上のものを使ってください。
(レギュレ-タにロードロップダウンタイプを使った場合は、6Vから12V程度)

電源プラグの極性


電源チェックが完了したら、メッキ線などで「JP1」を接続します。


以上を完了したら、基板を裏返して、スイッチをすべて取り付けます。


5.組み立て2:液晶パネルを取り付ける

最後に液晶パネルの取り付けですが、液晶パネルの「CN1」を液晶接続ピンで基板と接続します。
「CN2」は無配線ですから、接続しません。


さらに、この接続ピンのほかに、このピンを挿せる部品も売っているので、それを買って使えば、あとで液晶パネルの付け外しができますが、それはお勧めしません。
と言いますのは、操作パネルと基板の距離はスペーサで決まっていて、接続ピンのほかにピンを挿す部品も使うとその間に収まらなくなってしまいます。
さらに、このスペーサの長さは押しボタンの組み立てにも関係しており、長さの異なるスペーサを使うと、押しボタンの組み立てがうまくゆかなくなります。


液晶接続ピンは、短い方のリードを液晶側、長い方のリードを基板側にして組み立てます。
長い方を液晶側に使うと、操作パネルに触れる恐れがありますから・・・


6.組み立て3:操作パネルとリヤパネルを取り付ける

4隅をスペーサで止めるだけなので、非常に簡単な作業です。
組み立ては、ビス=操作パネル(液晶やスイッチ用の穴あき)=短いスペーサ=主基板(スイッチと液晶が操作パネル側)=長いスペーサ=リヤパネル(4隅の穴だけ)=ビスの順です。

しかし、実際に組み立ててみると、9個の押しボタンのうちの2つが、電気的には動くのですが、クリック感がありませんでした。
ビスを緩めて操作パネルを少し浮かすと、すべての押しボタンがクリックします。

と言う事は、短い方のスペーサの長さが少し足りなくて、操作パネルによって押しボタンが常に軽く押されているのです。


スペーサのわずかな長さ不足なので、次の写真のように、短い方のスペーサすべてにスプリングワッシャーをそれぞれ1枚差し込んだところ、すべての押しボタンが調子良くクリックするようになりました。
平ワッシャーだと、各2枚づつくらい必要かもしれません。
ワッシャーを追加

これは、製品添付の資料には書かれていませんので、ご注意のうえ、このような不具合にはぜひお試しください。


7.組み立て4:プローブを作る

プローブを作るために、次の部品が同梱されていました。
 >RCAプラグ、ミノムシクリップ(赤、黒)、シールド線、熱収縮チューブ

しかし、このオシロ自体そうですが、最近の機器にはミノムシクリップは大きすぎて使い辛いので、とりあえずやめて、ICクリップを使うことにしました。
線の付け方はあまり詳しくないのですが、次の写真のように線をはんだ付けし、しっかり締め付けたあと、曲げると線がキャップから出易くて具合が良いようです。
実物をこの写真と並べて、はんだ付け面、締め付け方向、曲げ方向などを細かく観察して、逆にならないように注意してください。
ICクリップに結線する


できあがりは次のような感じです。
プローブの完成


8.使用可能な電源

これですべてが組み立て終わりました。

そこで、まずACアダプタで動かしてみると、問題なく動作しました。
しかし、しばらく動かしていると、ACアダプタがいままでになく暖まっています。

測定してみると、ACアダプタの定格は9V150mAなのに、消費電流は180mAでした。
これでは動いてはいてもしかたないので、もう少し電流容量の大きいものを使うことにしました。

次に、U3の電源レギュレータはロードロップダウンタイプに差し替えましたので、電池も試してみました。
しかし、消費電流から考えて、006Pでは動いたとしても短時間しか期待できないので、単3型4本をいろいろ試してみました。

最初にNiCdを試してみました。これは電圧不足でうまく動きませんでした。

次にマンガン電池を試しましたが、これも電流不足でうまく動きませんでした。

結局、使えたのはアルカリ電池だけでした。
短時間のちょっとした確認にはこれで間に合うと思われます。


9.最後に

実際に動かしてみると、入力アッテネータの「SW3」をGNDにしても、画面には電源リップルらしい波形が表示されます。
しかたないかな?と思いながら、機械的な保護のために、手元にあった食品保存用のプラスチックケースに組み込んでみると、これがキレイに解消していました。

もちろん、GND以外にすれば、次の写真のようにきちんと波形が表示されます。
プラスチックケースに組み込んだ

プラスチックケースなので、シールド効果はないはずですから、直った原因は不明ですが、もしかしたらはんだ不良があって、それが一時的に直ったのではないかと、多少不安を感じています。


10.完成後の改造1:バックライト消灯

完成後も、ポータブルユースとしては、電源電流の大きさが不満でした。

液晶のバックライトをやめれば、50mAくらいは電源電流を減らせそうな気がします。
ネットで調べてみると、コネクタの19ピンに「LED+」という記号が付いているので、これがバックライトではないかと思われます。

しかし、組み立て後にできることは限りがあります。
接続ピンをここだけ切断すればたぶん良いのですが、そんな荒業は使えそうにありません。


メイン基板を(部品面から)眺めながら、19ピンへの配線を切ろうか、と考えていると、19ピンの間近にチップ部品があるのが目に止まりました。
ジャンパーか低抵抗に見えます。
迷った挙句、「配線を切るよりは紳士的ではないだろうか?」と、ふだん配線には使わない40Wのコテを持ち出して、一気にそれをはがし取りました。
チップ部品を外したところ

不安を感じながら、ふたたび電源を入れてみると、もくろみどおりバックライトは点灯せず、正常に動作しました。成功です!
バックライトなしの表示

消費電流を測定してみると、期待以上で、ほとんど半減の90mA台です。
それならば、と一度は試してダメだったマンガン電池を接続すると、今度はこれでも動作するではありませんか。
これで、アルカリ電池の寿命も倍増まちがいありません。
ポータブルは小型軽量と電池寿命が命ですから・・・


11.完成後の改造2:キャリブレーション出力

その後もネットで調べてみると、キャリブレーション信号の出力端子もあるらしい、ということがわかりました。

入手した説明書類には特別それらしい記述はなかったのですが、探してみると、基板の向かって左上端にあるはんだ穴がどうもそれらしいのです。

ためしに、端子をつけてみました。
向かって右側の穴は配線があるのですが、左側の穴は不明なので、両者を短絡する形で端子をつけました。
キャリブレーション端子


電源を入れ、プローブをこの端子に接続すると・・成功です!
見事にキャリブレーション信号の500Hz矩形波が表示されました。
キャリブレーション表示


過去記事一覧

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秋月電子の「オシロスコープキット」部品表

注意1:この文書により組み立てや改造を行った場合の結果については、いっさいの責任を負いません。
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写真(すべて同一縮尺です)品名・規格部品番号個数
0.01uF400V0.01uF400VC11
100uF100uF16VC10,C14,C15,
C18,C32
5
470uF470uF25VC111
インダクタ1mHインダクタ(1mH)L21
ダイオード1N4001ダイオードD31
5Vレギュレータ5Vレギュレータと
放熱板
U31組
RCAジャックRCAジャックJ11
電源アダプタジャック電源アダプタジャックJ21
スライドスイッチスライドスイッチSW1-SW33
押しボタン押しボタンSW4-SW129
液晶パネル液晶パネル
TG12864D
1
液晶接続ピン液晶接続ピン
(20x1列)
1
マイコン書込み端子マイコン書き込み端子
(5x2列)
J41
スペーサとビススペーサとビス4組


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秋月電子の「オシロスコープキット」部品配置図

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秋月オシロ部品配置図

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Author:理系男子
趣味も専門も電子回路という、画に描いたような理系男子ですが、世の中の「読みにくい取説」をなんとかできないものかと思い、自ら「書く側」になってしまいました。
 
 

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