秋月電子の「オシロスコープキット」を使ってみました
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>秋月電子の「オシロスコープキット」の操作パネル
>秋月電子の「オシロスコープキット」を組み立てました
このオシロは、VRやロータリーセレクターは一切使わず、すべてスイッチと押しボタンで操作するようになっています。
そのため、特に押しボタンについて、それぞれの機能と画面表示との関連について、理解と習熟が必要です。
以下は、立ち上げ時の設定手順にしたがって、これらの操作法と機能について説明します。
ただし、「外部トリガー」機能と、「波形保存」機能、「通信」機能については、筆者が未確認のため、この資料では説明しません。
必要な方は、ご自分で研究してください。
1.切り替えスイッチを設定する
液晶画面の向かって左手に、スライドスイッチが3個、縦に並んでいます。
電源を入れる前に、これらを下から順に設定していきます。
(1)機能切り替え(最下段)
これは、普通のオシロスコープに付いているAC/DCの切り替えのほかに、「Freq」と標示されている、周波数カウンタモードが付いています。
周波数カウンタモードについては後述しますので、まずはAC/DCのいずれかにしてください。
(2)感度切り替え(中央)
次に、あらかじめ入力信号レベルを予測してこのスイッチを設定します。
このオシロで観測が可能な入力信号レベルは30Vp-pまでですから、入力する信号は、直流ならば±30Vpeak以内、交流ならば振幅が30Vp-p以内としてください。
その範囲内で、予想される信号レベルが600mVp-p(直流ならば±600mV)までは「0.1V」レンジに、600mVp-p以上30Vp-pまでは「1V」レンジにしてください。
(2)垂直倍率切り替え(最上段)
「1V」レンジにしても、ここが「x1」ならば、画面には最大6Vp-p(直流ならば±6V)までしか観測できません。
そこで、入力信号が6Vp-pから12Vp-pの間ならばここを「x2」に、12Vp-pから30Vp-pの間ならば「x5」に設定します。
さらに、10対1のプローブを使えば(変換コネクタが必要)、300Vp-p(直流ならば±300V)まで観測できます。
2.電源を入れる

これで、「入力レベル」に対しては最適な設定をしましたから、観測プローブを接続し、電源(ACアダプターまたは電池)を入れます。
電源には、9V-12Vで300mA以上のACアダプタまたは電池が推奨されます。
電源のプラグは、内部電極がプラスで、外側電極がマイナスのものを使ってください。
電源を入れると、最初にオープニングメッセージとしてメーカー名やら品番やらの情報が表示されます。
一定時間の後、自然に信号表示画面に切り替わりますが、この時点ではまだ入力信号を与えても最適な表示はしません。
3.押しボタンで基本設定をする
液晶画面の向かって右手に9個の押しボタンがあります。
これらは、押す順番の組み合わせでさまざまな操作をしますが、操作内容は液晶画面で確認できます。
(1)掃引モードを「AUT」にする
最初にこのボタンを押すと図1の⑥が反転表示されます。
そこで、「+」または「-」ボタンのいずれかを押すと、押すたびに「AUT/NOR/SIG」の3つを順に表示しますから、「AUT」になったら押すのをやめてください。
これは掃引モードで、それぞれ次のような意味です。
図1⑥ | 機能 |
---|---|
AUT | 「自動」掃引です。 トリガーがかからなくても自動で掃引を繰り返しますから、直流や微弱な信号でも観測できますが、波形が左右に流れて静止しない場合があります。 入力信号レベルが適正で、トリガーがかかると波形が静止します。 |
NOR | 「標準」掃引です。 トリガーがかからないと画面の表示波形を更新しないので、直流や微弱な信号の観測には適しません。 |
SIG | 「単発」掃引です。 トリガーがかかると1回だけ掃引して、自動的に「HOLD」を表示して、その波形を保持します。 非周期パルスや、長周期の短いパルスなどの観測に適します。 |
「NOR」や「SIG」では、トリガーがかからないと、画面に信号が表示されない場合がありますので、ひとまず「AUT」にしておきます。
(2)波形の表示高さを調整する
画面内目盛りの向かって左手に小さな三角形があります。(図1の⑪)
これは、0Vの位置を示します。
このボタンを押すと、図1の④が反転表示されます。
このとき、「+」または「-」ボタンで0Vの位置を上下に動かすことができます。
これにより、画面内左の小さな三角形を、ファンクション切り替えスイッチの設定が「AC」ならば上下中央、その設定が「DC」で、入力が正の直流電位ならば画面内のもっとも下の水平線に合わせます。
(3)信号を入力する
信号入力ジャックにプローブを接続して、信号源に接続すると、画面に信号波形が表示されます。
しかし、このときはまだきちんと波形が観測できるとは限りません。
そこで、引き続き以下の調整を行います。
(4)掃引速度を調整する
このボタンを押すと、図1の③が反転表示になります。
このとき、「+」または「-」ボタンで、掃引速度を速くしたり遅くしたりできます。
「+」ボタンで速く、「-」ボタンで遅くなります。
図1の③の値は、画面の縦線間の時間を表し、範囲は2μsから10分まで変えることができます。
図1の③が入力信号を観測するのに最適な値になるように調整します。
たとえば入力が500Hzならば周期は2msですから、図1の③は「1ms」または「0.5ms」くらいが最適です。
なお、画面では、「ms」を「Ms」、「μs」を「Us」、「min.(分)」を「m」と表示します。
(5)トリガーレベルを調整する
まず、これを押すと図1の⑨が反転表示になります。
この状態で、これを短く押すと図1の⑦が「e」と「i」とで交互に切り替わり、それぞれ「外部トリガー」「内部トリガー」を意味します。
ここでは、ひとまず「i」を選びます。
(「e」すなわち「外部トリガー」については、筆者が未確認のため、この資料では説明しません。)
さらに、「+」または「-」ボタンを押すと、図1の②(画面内目盛りの右にある小さな三角形)が上下して、トリガーレベルの調整ができますから、表示波形が静止するように調整します。
これで、ひとまず波形観測ができる状態の設定が完了しました。
図1は、このオシロ自身のキャリブレーション出力(500Hz5Vpp、基板の向かって左上端)を表示しています。
500Hzの矩形波がきれいに表示されていることから、帯域はかなり広いことがわかります。
資料によると公称1MHzだそうです。
さらに、必要により、次の操作をします。
(6)トリガーエッジを選ぶ
このボタンを押すと図1の⑧が反転表示になり、
と
が交互に表示されます。
それと同時に、トリガータイミングが入力信号の立ち上がりと立ち下がりで切り替えられます。
これについては、実際に操作してご確認ください。
4.ワンショットトリガースイープ(単発掃引)
ときどき発生する単発パルスなど、パルス幅に対して発生周期が非常に長い場合は、通常の自動掃引(AUT)モードでは観測が困難な場合があります。
こんなとき、「単発掃引(SIG)」モードが便利です。
(1)「単発掃引」モードにする
最初にこのボタンを押すと図1の⑥が反転表示されます。
そこで、「+」または「-」ボタンのいずれかを押して、表示が「SIG」になったら押すのをやめてください。
(2)波形バッファをクリアする
次に、このボタンを押すと、画面内右上端に図1の①(「HOLD」)が表示されたり、消えたりします。
消えたところでやめてください。
(3)波形の左右位置を調整する
その後、信号が入ってきてトリガーレベルを通過すると、波形が表示されて固定されます。
しかし、波形がうまく画面内に表示されるとは限りません。
そのとき、このボタンの出番です。
これを押すと、図1の⑤が反転表示になり、「+」または「-」ボタンで表示波形を左右に動かせるようになります。
このとき、図1の⑩も動きますが、こちらは取り込んだ波形の中の表示範囲を表すので、波形の動きとは逆に動き、「+」ボタンで右に、「-」ボタンで左に動きます。
これにより、波形が画面内にきちんと表示されるように調整します。
このとき、波形を6個までメモリに保存することができるそうですが、筆者がまだ未確認のため、この資料では説明しません。
(4)波形表示を消去する
波形観測が済んだら、入力が無いときにこのボタンを押すと、画面内の波形と「HOLD」表示がともに消えます。
これで、再び(2)の状態に戻って、次の入力の待機状態になります。
5.周波数を計測する
このオシロは「周波数カウンタ」として使うことができます。
スレッショルドはTTLレベルなので、入力信号は、3Vpeak以上必要です。
(1)周波数カウンタにする

「周波数カウンタ」として使うには、ふたつの操作が必要です。
まず、操作パネル上の向かって左の再下段にある「機能切替」スイッチを「Freq」の位置にします。
その後、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、「周波数カウンタ」として動作します。
操作の順序は逆でも大丈夫です。
「機能切替」スイッチが「AC」または「DC」の位置でも、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、画面は「周波数カウンタ」になりますが、これではまだ動作しません。
「機能切替」スイッチを「Freq」の位置にすると、カウンタ回路に信号が入力され、計測を開始します。
(2)オシロスコープに戻す
「周波数カウンタ」から「オシロスコープ」に戻すには、ふたつの逆操作が必要です。
まず、「機能切替」スイッチを「AC」または「DC」の位置にします。
その後、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると、画面内の「Hz」の真上にある「●」が消えます。
そこで「OK」ボタンから手を離すと、「オシロスコープ」に戻ります。
操作の順序は逆でも大丈夫です。
「機能切替」スイッチが「Freq」の位置でも、「OK」ボタンを3秒以上長押しすると画面内の「Hz」の真上にある「●」が消えます。
そこで「OK」ボタンから手を離すと、画面は「オシロスコープ」に戻りますが、これではまだ波形表示しません。
「機能切替」スイッチを「AC」または「DC」の位置にすると、オシロに信号が入力され、波形を表示します。
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