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コールセンターとAI

ここ数年、いろいろな用件であちこちのコールセンターに電話をしました。
感想は、正直に言って過半数が「なかなかつながらない」でした。
それもただつながらないのではなく、中には延々と自動音声で「選択」を指示されたあとつながらないものもあります。
この「選択」作業を繰り返すのはなかなか辛く、心折れます。

最初は、「通信関係などの若い会社は体制が整っていないのだろう」と思っていました。
ところが、そうではなくて、押しも押されぬ我が国最大の電力会社は、いつ電話しても「ただいま混みあっております。」でつながりもしません。
「えっ、実は開店休業?それともひとりで応対しているの?」と邪推しました。

そこに至って、原因は「会社の規模や歴史ではない」のだと考えました。
つまり、私にも経験があるのですが、企業内に「問い合わせ対応はできれば縮小したい」みたいな雰囲気があるのです。
「問い合わせ対応」は手間や費用がかかるのに、直接利益にはつながりませんから・・・

私も勤めていた頃、一時期そういう業務をしていました。
そのとき、冗談半分で「問い合わせゼロ秒」計画を唱えていました。
何かというと、お客様が問い合わせをする時間をゼロ秒、すなわち「問い合わせ不要」にしようということです。

そのために何をしたか?
単純に、ありがちな「FAQ(よくある問い合わせ)」を作ったわけではありません。
そんなものでは、お客様が自分の欲しい回答を容易に見つけることはできません。
私は、さまざまな説明資料を作ったのです。
「動作原理と特性」「使い方」「注意事項」「規格諸元の意味と測定条件」「使用環境の影響とその見積法」など、初心者向けから上級者者向けまで・・・
そして、これをネットに掲載し、問い合わせの都度、掲載箇所のURLと、どの資料のどこに答えが載っているかを答えたのです。
幸い、私の場合は問い合わせのほとんどが電話ではなくメールでしたから、やり易かったです。
そうすると、問い合わせた人は、疑問点だけでなく、それ以上の情報を芋づる式に手に入れることができます。
「FAQ」のような断片情報でなく、関連情報を統合した形で・・・

その結果、問い合わせのリピーターはほとんどなくなりました。
つまり、お客様の問い合わせ時間は、最初の1回だけは有限ですが、それ以後「ゼロ秒」となったのです。
そのため、私の方でもコールセンター業務の手離れが進みました。
さらに、作った資料は、新入社員の学習資料にも使うことができました。

これは平成の時代でしたから、資料作成も問い合わせ回答もすべて人手でしたが、これからの時代を考えると、大きくAI化できると思います。
AIがFAQを統合してさまざまな説明資料を作り、問い合わせが文字でも音声でもAIが受け付け、適切な資料とその該当箇所をリストアップして回答します。
チャットGPT」のように・・・
AIの回答で解決できない場合のみ、人間のオペレーターにつなぎます。

しかも、人間のオペレーターは1対1対応ですが、AIは同時に複数の相手ができます。
これによって、人間のオペレーターを削減でき、企業や業種によってはほぼゼロにできます。
すぐつながるコールセンター」の実現とともに・・・
そのような企業では、あと5年程度で、この「AI回答システム」が欠かせないものになるにちがいありません。
「無敵の無人コールセンター」として・・・

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先端半導体の国産化

最近ニュースで日本の大企業群が先端半導体の国産を目指すと聞きました。
そのための新会社の名前は「Rapidus(ラピダス)」だそうです。

しかし、この話、私は100%失敗すると思っています。
外れるといいのですが・・・

なぜそう思うのでしょうか?
かつて日本の半導体はその高品質によって、売上げ世界一でした。
しかし、現場の技術者は「工員」と呼ばれ、どんなに優れた技術を持っていても給与とか作業環境などの待遇に反映することはありませんでした。

なぜか?
日本の会社組織は「ヒーロー」が嫌いなのです。
社員全員が均一な作業を行うことで、卓越した品質を誇ったからです。

このヒーロー嫌い」という日本の会社組織の体質は「絶対に」変わらないと私は信じます。
技術者の立場から言えば、たとえば青色発光ダイオード発明者の中村修二氏などには社長の何倍もの給与を与え、優れた作業環境を提供してもバチはあたらないと思うのですが、日本の会社組織は「工員が社長よりも高給」などという話は決して許しません。
日本の文化は「肩書には金を払うが技術には金を払わねぇ!」ってとこでしょうか?

その結果、かつて、現在の半導体大国の企業による高給と高度な作業環境の提供を条件としたリクルートによって、特に半導体分野で先端技術の海外流出が起こり、日本は優位性を失いました。
この時、「技術は明文化しないで属人化しておく」という日本企業の文化が見事に裏目に出ました。
 参考>「技術流出

そして、これから日本育ちの先端技術がたとえ生まれたとしても、冷遇に呆れた技術者たちはかならず厚遇してくれる海外に流出することでしょう。
その時も「技術は明文化しないで属人化しておく」という日本企業の文化が変わらず同じ役割を果たすはずです。

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TV放送業界崩落の足音

今年7月18日午前11時半頃、安倍元首相が射殺されました。
そこから当日いっぱいは、ほとんどの地上波TV局がこの場面の放映と関連の情報に終始しました。
しかし、新しい情報は直後の1時間程度までで、その後は同一情報のエンドレス放送となりました。

これ、「横並び」ですよね?
マーケティング理論で「横並び」が有利なのはダントツの「チャンピオン」に限られます。
理由は、ライバルに比べて資金や資材、人材の調達が有利、販売チャンネルの力が優位、ということです。
しかし、これは「チャンピオン」に限られており、2位以下はむしろ「チャレンジャー」として、「チャンピオン」とは差別化」した商品や戦略を採らなければ連敗道まっしぐらです。
なので、私は以前にこのような「横並び」は「無能」の証明だとして、「大事件の際にも持ち回り報道で十分」と切り捨てました。
 参考>「入院の友

実際、今回のこの状況で私がTVの報道を見たのは最初の1時間まで。
「エンドレス放送」になった後は、空き時間を以前の録画とネットの動画で十分過ごせました。

今回もまた「横並び」がやめられなかったこの業界は、自分たちが「メディアの王者」で自分の局が「(そこそこの)チャンピオン」だという幻想にいつまで浸り続けるのでしょうか?
自分が漬かるお湯の温度がどんどん熱くなっているのに気づかない者を、世間では「茹でガエル」と評しますが、この業界のお湯の温度は刻々と上がり続けています。
すでに市場の縮小が先行している新聞業界はどうなのか存じませんが、業績が悪くなってからアタフタしても、自由に使えるお金は社内のどこにもないのですよ。
 参考>「会社は好業績ならOK?

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「おむすび少女」

米の国内需要が減り続けているそうです。
次の図は農林水産省による令和3年発行「米をめぐる関係資料」からの抜粋です。
米需要

これにより受給バランスが崩れて米農家は困っているらしいです。
で、新潟県が「おむすび少女」なる動画を作って、需要喚起を図ったとのことです。

しかし、その効果に関しては、私はかなり懐疑的です。
何が何か」と申しますと、新潟県の地元民が食べている米と、首都圏の消費者が食べている米とは似て非なるもので、新潟県の米関係者はそれに気づいていないのではないかと思うのです。

私、長年首都圏のスーパーで買った米を食べてきましたが、いつも「こんなパサパサした鳥のエサみたいなものをなんで人間の私が食わねばならないのか?」と思っていました。
しかし、独自の仮説と検証により、なんとか「おいしい米」の継続的な入手に成功しました。
 関連記事>おいしい米

米生産関係の皆さん、いちど首都圏のスーパーで買った米を送ってもらって試食してみてはいかがでしょう。
「どうしたら需要が増えるか?」はその後にしませんか?

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密漁と漁業権

TVでときどき「密漁」についての取材番組がある。
しかし、「漁業権」というのが漁業従事者以外には分かりづらい。

分かり易い順に言えば「1.農地と農作物の所有権」、次が「2.山の所有権」で、「3.海と海産物の所有権」がいちばん分かりづらい。
1.農地と農作物の所有権」を犯せば即泥棒、窃盗犯である。これは分かり易い。

しかし、「2.山の所有権」に関して言えば、「山菜」とか「野草」くらいはわりあい軽い気持ちで失敬しがちである。
もちろん、ひとつかみ程度の少量に限るが・・・
ただし、この場合でも、採取対象が「マツタケ」であるとか、樹木の盗伐ならば犯罪であることは世の常識である。
タケノコ」はどうかと言えば、商品になるものは窃盗、そうでなければ「野草」だろうか?

だが、「3.海と海産物の所有権」、いわば漁業権がいちばん「ピンとこない」。
仮に農地のように、海にブイやロープで区画が明示されており、「ここに入ったら不法侵入だからね」と言うのであれば分かり易い。
たとえば、養殖中のアワビとか真珠とかに手を出したら泥棒だ、というのは「世の常識」と言って良いと思う。

でも、自然に生えている海藻とか住んでいる魚、貝が漁業権の対象なのかどうなのか、は「識別できない」。
いわば「山菜」とか「野草」とかと同列に見えてしまう。

職業的な密猟者はともかく、そういう認識の一般人にいきなり「密漁です!」とやるのはどうかと思う。

せめて、海岸にスピーカーを設置して「ここでの海産物の採取と持ち帰りは禁止です。」くらいは流してもらえないだろうか?
「小さい看板がある」程度ではなく・・・

それを聞いて、承知の上で海産物を採取する確信犯は窃盗で取り締まっても当然と思うのだが、漁業従事者のお考えはどうだろうか?

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趣味も専門も電子回路という、画に描いたような理系男子ですが、世の中の「読みにくい取説」をなんとかできないものかと思い、自ら「書く側」になってしまいました。
 
 

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